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伝説の理想郷・桃源郷を目指す旅
2004年11月28日〜30日
台北〜高雄〜旗山〜桃源〜六龜〜高雄〜台北

伝説の理想郷・桃源郷。桃の花が咲き乱れる外界から切り離された場所と言われています。ある日何気なく台湾のガイドブックを見ていたらなんと高雄縣にあるのを見つけてしまいました。いつか行ってみたいと思いつつ時は過ぎ、ついに学校の休み期間を利用して行くことになりました。

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タクシーバスに乗って
今回は朝出て昼頃高雄着、バスに乗り換えて桃源郷へ行くというプランをまず考えたのですが高雄からのバスが午前と夕方の2本だけとわかり却下。結局今回も夜行便を利用することになりました。バス・鉄道どちらを利用するにしてもまずは台北車站に出なくてはならないので、いつもの253路を利用することにします。
しばらく待ってやってきたバスの乗客は0、乗ったのは自分一人だけ。空いたバスの車内で一息つき、荷物をチェックしているとガイドブックを置いてきたことに気づきました。荷物を準備するとき真っ先に入れるはずのもので、実際入れたのですが再チェックのために取り出してもう一度入れるのを忘れてしまったようです。急いで降りて戻ることもできましたが、面倒なのと時間の余裕がたっぷりあるとは言い難いこと、最終目的地に関する情報は載っていないので(観光地ではないから)なくても何とかなるだろうということでそのまま続行することに決定。
バスは誰も乗らないまま快調に進み、いつもなら確実に乗り降りがある公館も余裕で通過。このあたりからもしかしたら、と思っていたのですがそのまま一つの停留所にも停まらないまま台北車站に到着してしまいました。結局興隆路−台北車站間の客は1人、運賃収入12元。指1のようなマイナー路線ならともかく、この路線で「タクシーバス」を達成してしまうとは意外です。飛ばし気味の運転手だったこともあり、28分しかかかりませんでした。

さて、ここからの夜行便をどうするかです。サービス重視ならアロハ客運バス、コストパフォーマンスも考えるなら統聯客運バス。しかし所要時間≒睡眠時間が短い、かなりの早朝に着いてしまうことを考えると選択できず結局懲りずに台鐵の平快列車を利用することになったのでした。さすがに三度目なので要領よく行けたのですが、計算外だったのが寒さ。予想以上に冷え込み、ちょっと寝にくい環境でした。
それでもなんとか高雄に到着。新幹線開通に向けてなのか、相変わらず駅付近は工事中です。
とりあえず空腹だったので適当に朝食を調達してからこれから乗る予定の高雄客運のターミナルを探索開始。住所から大まかな場所を調べてあり、しばらくうろついてみるとバスが何台も出入りしている場所があり、國光客運の東隣にあるそこがターミナルでした。
大きさが想像していたよりもずっと小さく、最初はわからなかったのですが確かにターミナルとしての体裁を持っています。ここから直接桃源郷へ行けるのですが、発車は3時間後。そこでまずは旗山へ行って観光し、そこから改めて桃源郷へ行くことにします。

旗山までの便は20分に一本くらいあり、運賃は88元。所要1時間ちょっとの割に高い気もするのですが、観光バスタイプのデラックス車両だったのでまあ良し。まるっきり計画通り8時20分の便に乗り込みました。
夜行列車の中で寝不足だったので途中で寝てしまい、気が付くとすでに目的地近く。しばらくしてほぼ定刻通りに旗山ターミナルに到着しました。
高雄駅前
高雄車站東側
旗山
選挙の旗
旗山ターミナルのは高雄より大きく、乗り継ぎの拠点になっているようです。そこで調べて置いた桃源郷行きのバスの時刻をチェックし、間違っていないことを確認したところで早速観光を始めました。

ガイドブックがないのでどのあたりが観光地かわからず(この点は失敗だった)とりあえず付近を歩いてみました。その感想は「ごく普通の田舎町。なんだか埃っぽくていまいち」。町の外に続いているらしい橋の上には立法委員候補者の旗がこれでもかと林立しています。
適当に店を眺めたり、郵便局に入ってお金を下ろすついでに休憩したりしていました。
しかしさらに進んでみると町の様子が変わってきました。何やら古い、風情のある建物が点在しています。先程までの埃っぽさが消え、車の数も少なくなっています。

その途中、老街への看板を見つけたので行ってみることにしました。
旗山
旗山老街
旗山老街
旗山の老街はバロック様式でかなり綺麗な感じ。どの建物も現役で使われています。
写真だとあまりそう見えませんが、かなり活気のある通りでにぎやか。この日は風邪気味であまり体調が良くなかったのですが、歩いているうちにだんだん調子が良くなってきました。
ちょっと道を外れてみるとまた先程のような建物が点在、懐かしいおもちゃや子供用自転車などを売っている店があったりします。 玩具店
落花生 再び老街に戻り、今度は反対の方向へ行くと市場のような場所に出ました。そこで落花生を売る店があり、看板の下にぶら下がるいくつもの巨大落花生に思わずびっくり…が、よく見たら作り物でした。
老街付近をほぼ一周したところで昼食を取ることにしました。なるべく人の入っていそうな店を選び、乾麺を注文。選択に誤りはなく、値段の割に量があって美味でした。

そこからバスターミナルに戻る途中、この町が製糖で賑わっていた時代に使われていた軽便鉄道の駅舎を発見。一応保存しようという気持ちはあるようですが、すでに荒れ果てていてかなり大がかりな修復をする必要があります。
その前に旗山の観光地図が置かれているのを発見。見てみると今まで歩いてきた場所はほぼ観光ルートに沿っていて、上手い具合に回ってきたようです。
旧駅舎
切符
桃源郷行き切符
ターミナルに戻り、いよいよ桃源郷へ向けて出発です。
切符は自販機で買うようになっているのですが、値段は155元。しかし自販機は硬貨しか使えず、手元にそれだけの小銭はありません。そんなときは前に立っている係のお兄さんにお札を渡して行き先を言うと、ポーチから小銭を取り出して代わりに買ってくれます。それなら初めから窓口を併設した方が早い気がするのですが、どうなんでしょうか。

やがてほぼ時刻通りにやってきた梅山口行きのバスに乗り込みました。
バスは旗山の町中を走り抜け、市街を抜けそうになる所でもう一度停車。乗車した場所は旗山北ターミナル、こちらは旗山南ターミナルのようです。市街を挟んで両側にあるのでどっちもどっちですが、観光には北ターミナルの方が若干近そうです。

いくつかの町を抜け、甲仙に到着。ここで小休止です。
そこで乗って来たバスの写真を撮ってみましたが、見ての通り”墾丁列車”の文字があり(側面にはイラストもある)墾丁方面と共通運用されているようです。

ここまでの道は割と普通だったのですが、甲仙を出ると山道の感じになりカーブが多くなってきます。途中車一台分の幅しかない橋や、道路が半分崩れている場所などを何度か通り、こんな重い車で通って大丈夫なのかとても心配でした。さすが秘境。
ところで、知らない場所に行くときいつも付いて回るのが「どこで降りるか」。一口に桃源郷と行っても広く、まあどこで降りてもいいのですが今回は一応中心部と思われる桃源郷公所の前で降りようと思っていました。しかしアナウンスなどはもちろんなく、景色を注意して見るぐらいしかありません。しかしそこは上手い具合に出来ていて、少し手前から乗ってきたお姉さんが「桃源まで」と言っています。これはきっと中心部に行くに違いないと思い、くっついて降りると果たしてそこは桃源郷公所の前でした。
バス
甲仙站で休憩中
桃源郷 その公所(役場)前の道です。郵便局と図書館があるくらいで人通りも少なく静かです。
紀念に?ここの郵便局でもお金を下ろしました。

というわけで無事桃源郷に到着しました。正式には高雄縣桃源郷。日本流に言うなら高雄県桃源村ですね。桃の花が咲き乱れる理想郷…ではありませんでした(当たり前)。
というわけで色々な「桃源郷」を撮ってみました。我ながらよくこれだけのネタのために金と暇を使ったと思います。

風景 ここまでのバスが若干遅れたものの、帰りのバスまでの時間は2時間弱あります。折角なのであちこち歩き回ってみることにしました。とはいっても通り沿いの町はとても小さく、数軒の商店などがあったりするくらいで数分で通り抜けてしまいます。
それを抜けた先にはここまでと同じような山道が続いていました。桃源郷は少年渓という渓谷があるような場所で、そこからはこんな感じの景色が見えます。楽園ではないけれど秘境っぽい雰囲気はあると思うのですが、どうでしょうか?

そこで写真を撮っていたら崖の上の方で工事していたおじさんに声を掛けられ、「朋友、風景好看[口馬]?(景色は綺麗か?)」と聞かれました。「[口恩]、好看(きれいだよ」と答えると、「謝謝」。ここの景色を気に入っているということでしょうか。
途中何ヶ所かで謎の「桃桃電柱」を見かけました。 桃桃
ポスター 町を歩いていて感じたのは原住民色の強い場所だということ。住民の顔立ちはかなり特徴があって他とは明らかに違うし、原住民連絡所という見慣れない建物があったり、原住民博物館(建設中)があったりします。後で調べてみるとブヌン族の村だということがわかり、納得。自分は
選挙ポスターの候補者写真も原住民の装束で写っているものが多くありました。

言葉の面ではどうかというと、耳にした言葉は皆國語で、選挙カーの放送も國語でした。南部にしては台灣語の使用率は低いようです。もしかしたら原住民同士の会話では独自の言葉を使っているのかもしれませんが、今回聞くことはありませんでした。
まだ時間があったので今度は小学校の脇を通り、温泉へ続くと書かれている道を進んでいきました。すぐに家並みは途切れ、ぽつんと廟がありました。ちょっと特徴のある外観をしています。
しばらく進んでみましたが、先はまだ長そうなので次に見えた家のあたりで引き返し。そこにいた家族連れから「温泉に行くの?」と聞かれ、一緒に連れて行ってくれそうな気配もありましたが、行くにはすでに時間が不十分なので「違います」とお答えしてそのまま戻りました。その後知った所によると温泉までは徒歩40分くらいの距離だったようです。
廟
バス
六龜行きバス
この後の展開は六龜に行き温泉宿で一泊。翌日美濃を観光しつつ高雄に戻るということを考えていました。
役所前に腰掛けて待ち、すぐにバスがやってきました。やけに早いのでおかしいな?と思ったら興南客運の台南行きでした。今回調べたのは高雄客運の便だけだったのでこの便の存在は漏れていたのです。一応六龜に行くか聞いてみると行かないとのことなのでパス。次に来た方向から高雄客運のバスがやってきて桃源で運転終了。フロントに回ってみると六龜−桃源となっているのでこれが折り返すのかな、でも梅山口始発のはずなのに変だなと思って見ていると時間になっても動きません。
そしてついにやってきた本当の六龜行きは…マイクロバスでした。今までがデラックスタイプだったのでギャップにびっくり、危うく見落とすところでした。
乗ったとき客は自分一人だけでしたが、途中で大量の小学生が乗り込みそれぞれの場所で降りていきました。
六龜に到着、ここで温泉旅館に泊まろうかなと思っていたわけですが…。地図では温泉マークが沢山あったので温泉旅館もたっぷりあるのかなと思っていたら郷の中心部には温泉がないようで2軒の旅社があるのみ。それでも今すぐ休める、美濃に寄りやすいというメリットは残るのでここに泊まるという選択肢は残ります。しかし考えた末、美濃は次回のために残しておき今日は高雄まで戻って泊まることにしました。

しかし折角来たので町を見たい(すでに真っ暗ですが)のと、夕食時になったのでここでバスを一本見送ってここで食べていくことにしました。適当な自助餐を見つけてはいると安くて美味しく割といい感じでした。満足してターミナルの戻るとさっきまで開いていた窓口が閉まっている…どうやら18:00で営業終了のようです。それでもなんとか小銭があったので直接運転手に払い(100元単位は札でも問題ない)乗車。暗い中を結構飛ばしている(ように感じた)のでちょっとスリルがあって楽しかったです。

途中美濃・旗山などに停車して高雄市内へ。ここまでは良かったのですが、下車するときにちょっと失敗。駅の少し手前にある中学校まえに停車し、次が終点のターミナルかと思っているとバスは右に曲がって駅から逸れる方向へ。しかし高雄の場合なぜか駅近くまで来ておきながらまっすぐ駅に入らず遠回りする路線が多い(一方通行の交通規制でもあるのか?)ので気にせずに乗っていたらバスは橋を渡って歴史博物館の方へ行き、そこで終わり。どうやらこの便は高雄ターミナルには入らない路線だったようで、駅に行きたい人は少し手前の中学校で降りなくてはいけなかったようです。

幸いこのあたりに関する知識はあるので、適当にバスを捕まえて戻ることにしました。バス停近くに謎の光る歩道橋があったので紀念に撮影。写真でちょっと誇張されていますが、まあこんなもんです。なんでこんな所を光らせるんでしょう?
歩道橋
光る歩道橋
無事に戻れたところで宿を探しにかかりました。最初にいつもはいかないエリアに行き、1軒見せてもらうと部屋はそこそこ良かったものの奥まった所にあり通路が怪しかったのでパス。結局いつものエリアに行き、いつもの新源大旅館…ではなくたまには変えようと隣の高源旅館に入ったのですが大外れでした。洗面用品の交換が不十分だったり、水道が壊れていて完全には止まらなかったり。部屋の位置もよくありませんでした。以前にも利用したことがあり、その時は特に問題なかったように思うのですが質が落ちたのでしょうか?あるいは部屋によって違いがある?やはりおとなしく新源(複数同室なら中級ホテル)を使った方がいいようです。
すでに六龜で食事が済んでしまっており、一人で六合夜市に行く気にもならないのでちょっとテレビを見て今日は休むことにしました。

そして最終日。10時過ぎまで部屋でゆっくりし、店が開いた頃を見計らって電脳街へ。いつものように買い物をしていきます。それも済んだ所でターミナルに行き、台北へ帰ることにしました。時間的にはまだまだ余裕があるし、むしろ2〜3日延ばしても問題ないくらいなのですが体調を考慮して今回はここで終わり。帰りの便はここしばらく利用していなかった國光客運を使ってみることにしました。乗ったのはグレイハウンドタイプの銀バスで、古臭い車体が逆に新鮮に感じます。高雄−台北線は2種類あり、乗ったのは西螺経由の便。その西螺で休憩した際、売店でレアな缶飲料が並んでいるのを発見!買い込んでしまいました。
特に渋滞にはまることもなく、4時間半強で台北に到着。タイミングよくやってきた市内バスに乗り換えて帰宅しました。

後で調べてみると今回は南部横貫公路(甲仙−桃源間)を旅したことになるようです。特に寶來温泉から先は台灣有数の人口希薄地帯で食糧を買い込むのは困難(そんなことはないと思うけど桃源郷公所付近も含まれる)とガイドブックにあり、結構な場所を訪れていたみたいです。
まともに「観光」したのは旗山くらいですが、現地の交通事情など得る物は色々あり行ってみたい場所も色々あったので今後経験を生かしてまた訪れてみたいところです。


今回の費用
交通費 1303元
食費 181元
宿泊 400元
合計(電脳街での買い物含まず)) 1884元


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